あみぐるみ屋ぽぽぽ本舗

2021年5月10日、奄美大島、徳之島、沖縄本島北部、西表島にある森林などが、世界自然遺産に登録することがふさわしいとしてユネスコの諮問機関に勧告されました。
7月に開催予定の世界遺産委員会において、正式に認められればユネスコ世界自然遺産として認定されます。

長年の努力が報われ、シマは沸き立っていることと思います。


島の大自然の価値が世界的に認められることは嬉しい。
けど
これから観光客が押し寄せてきて、それに合わせて開発の波も押し寄せて、今までの島とは変わってしまうんじゃないか。

そんな不安を抱いてる方が多いようですし、その懸念は当たっていると思います。


ちょうどよく観光業界が潤って島の経済が豊かになって
ちょうどよく環境に配慮した規制がなされて島の生物多様性や美しさも保持されて
ちょうどよく外から人がやってきて島に新たな風と人口増加が訪れて
ちょうどよく昔からの島独自の文化が守られて継承されて

ちょうどよくみんなが幸せになればいい。

なるといいな。




「奄美が自然遺産になるのは嬉しいけれど、自分が好きなものを採集しづらくなるのは困るな」
と言った声を、虫屋さんや爬虫類両生類屋さんが口にしているのを数件、目にしました。
それに噛みついて、喧嘩してる人も。
どちらも日ごろの活動は立派な方で、自然を愛する方だというのは存じ上げているのだけど、やっぱりそういう目で見られているのだと思うと辛くなりました。

乱獲して商売しようというのじゃない、研究対象として採集して標本にするのだ、と主張されても、生物が獲られてしまうことに変わりはない。
生物多様性を維持するためにも、未記載種を調査する必要があるとおっしゃる方もいるのだけれど、
ぶっちゃけ、それは知性を振りかざしたエゴなのではないか？

未開拓の未知の自然があって、そこに豊かな生物環境が展開していることがわかっていれば、もうそれでいいじゃないか。

なぜそこに分け入って捕まえて分類してすべてに名前を付けたがるのか。

学問というものがそういうもので、それが発展しているからこそ今の人類の知性があるのだと頭では理解しているのだけど、
知性を錦の御旗にしてどこにでも分け入っていこうとする姿勢が、はたから見ていて私は怖い。

なにがどう怖いのかと考えていたのだけれど、たぶん、身ぐるみはがされる心地に近いのじゃないかと思う。

幼いころから島の自然の中で暮らしていると、それが身近なものであると同時に唯一無二のものであると感じる。
親しみもあるけれど恐怖もあり、畏敬の念の対象であるのが島人にとっての島の自然なのだと思う。
大事に、というよりは畏れを以って接しているのに、外から来る人はその感覚もないままぐんぐん土足で入っていってどんどん生き物を獲っていく。
それもたとえば島で生活していくために自分の分の食料を獲るというのとは違う、学問のために（もっとひどいとお金稼ぎのための）採集。

怖くて仕方がない。
それは本当に必要なの？島に住んでもいない人が？共生している相手を知るためにとかでもなく、己の知性欲のために？


変なこと言ってるな、というのは自分でもわかる。たぶん偏見と誤解に満ちているんだと思う。
でも「遺産登録は嬉しいけどちょっとやだな」という感想を持つ島人には共感してもらえるのじゃないかな。


見に来てほしいけど、持って行かないでほしい。
楽しんでほしいけど、あまり深くまでは入らないでほしい。

勝手な言い分です。